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ログという名の溝を彫ります

【ネタバレあり】ゼルダの伝説 ティアーズオブ ザ キングダムの感想

先日、ようやく「ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム」(以降TotK)をクリアした。
発売してから、1ヶ月以上経過してのクリアとなる。
ソフト自体は、発売日に購入済みだったが、数時間プレイしたあと、当時ハマっていたスプラ3ばかりやっていて、手を付けられずにいた。
この、オープニングをやってから、しばらく期間を置いてから再開するという行為をとても後悔している。一度始めたて、そのままクリアまで進めるべきだった。

この記事では、TotKをプレイした感想を書く。
最初に感想を一言でいうと、「少なくとも自分にとっては、最高傑作となったタイトル」である。
ゲームの自由度や操作性などは、すでに世間でも言われている通り、最高レベルだ。
まさに、BotWの正統続編という感じで、BotWから更に自由度を拡張することに成功していると思う。
しかし、私には、ゼルダ姫というキャラクターを通して紡がれるストーリー、美麗なグラフィックや音楽を用いた演出がとても刺さった。
なので、ゲームの自由度や操作性などの観点からではなく、一つの映像作品という観点からの感想になると思う。

以下が目次となる。

前提

  • 初回クリア時のプレイ時間は60時間程度
    • ちょいちょい寄り道はしつつも、FF16の発売日が迫っていたので、終盤は若干急いでクリアした
  • 前作のBotWはプレイ済み
  • ゼルダ作品は、ムジュラの仮面風のタクトなど複数の作品をプレイしてはいる
    • しかし、全作品をプレイしているわけではない
    • なので、そこまでゼルダの作品に詳しいわけではない
  • TotKは、初回クリア時は、龍の泪は最初の一つのみ見ただけ
    • 全クリ後に、改めてすべての龍の泪のムービーを見た
    • (このことは相当後悔している)

ラスボス戦からエンディングまでの映像と音楽と演出

いきなりだけど、ラスボス戦からエンディングまでの感想を書く。
もりろんオープニングから素晴らしかったが、オープニングはエンディングまで理解してから見返すことによって、その真意に気づくことができるという仕組みになっていると思う。
ちなみに、私のオープニングでの感想は、「うわぁ、やっとゼルダ姫と2人で冒険することができる!最高じゃん!ゼルダ姫がショートカットにしていて超似合っていて、超可愛い」だ。 (その後すぐにゼルダ姫とは別れてしまう。私の希望はあっという間に裏切られてしまったのはとても辛かった。)

ショートカット似合い過ぎでは?

話を戻す。ラスボス戦が始まってまず思ったのは、ガノンドロフが超カッコいいということだった。
これまでのガノンドロフとは違うし、前作のガノンとも全然違う。これについては、別項で書く。

今作では5人の賢者が仲間にいる。その仲間ともラスボス前に分かれているので、今回もまた、一人でラスボス倒すのか、と思っていたら、途中でその仲間たちが助けに入って来てくれたシーンはとても胸が熱かった。
ゲームのラスボスを1人で倒すというのは、よくあることだし、それはそれで全然構わないんだが、いざ仲間が助けに来てくれた時の頼もしさと安心感はとても良かった。
苦労して仲間を集めてよかったと思わされた。

シーンは進んでガノンドロフ黒龍化するシーン。この黒龍化したシーンから、ラストのエンディングのムービーまでの流れが本当に映画といっても過言ではないほど素晴らしいできだったと思っている。
まず、黒龍に噛まれて身動きが取れないリンクを救おうと、北龍が助けに来てくれるシーン。ここは本当に最高だった。
最初、鳴き声が聞こえた時は、「なんだ?」と思ったが、この白龍が来てくれたタイミングと、その見た目を見た瞬間にこの白龍がゼルダ姫であるということを理解できた。
(前提にも書いているように、龍の泪をほぼ見ずにここまで進めたから、恥ずかしながら全然白龍とゼルダ姫が紐づいていなかった。にも関わらず、一瞬で理解させられたことで、ここの演出がとても印象に残っている)
さらにこの白龍がゼルダ姫であるということは、あのシーンのあのセリフはこういうことか?という理解が頭の中で一気に進んで、衝撃がすごかった。今でもこのシーンを見るたびに涙ぐんでしまう。

リンクのピンチに駆けつける白龍

黒龍戦が進んでくると赤い月が出てくる。さっきまで明るかった周りが、一気に暗くなり、さらに、月は赤くなっていて、クライマックスだということを表現していて、とても良かった。
黒龍にトドメを刺すシーン。これはゼルダ姫が、その額でマスターソードを守っていたことの対比になっていると理解している。ゼルダ姫はマスターソードを額で守る。カノンドルフはマスターソードで額を打ち砕かれるという対比になっている。

そこからシーンはさらに進んで、ガノンドロフを倒した後。まず、白龍からゼルダ姫に戻ったことがとても嬉しかった。本当に戻ってくれて良かった。
で、落下するゼルダ姫をリンクが救うに行くシーン。このシーンは、少しだけではあるが、プレイヤーが操作する。プレイヤーの操作をほとんどないが、「ゼルダ姫を何としても助ける。俺がゼルダ姫を助ける」と思わさせる演出だった。
で最後に手を伸ばすシーン。オープニングではつかめなかった手を今回は掴むことができたという、オープニングとの対比になっていると思う。
また、この時に流れる音楽も最高だった。まさにここしかないというタイミングでの音楽だった。
さらにそこから、水の上に落下するシーン。もちろん現実世界だったらあの高さから水に飛び込んだら無事では済まないが、これはゲーム。ゼルダの世界だったら、どんな高さからであっても水に飛び込めば、ダメージを受けることなくノーダメージで済むという設定を活かしている。

そして最後。ゼルダ姫が目を覚ましてリンクに話しかけているシーン。最後の「ただいまリンク」というセリフを聞いたときは、「本当にお帰りゼルダ姫。本当に良かった。本当に戻ってきてくれて良かった。本当におかえりゼルダ姫!」と思わされた。とても泣いた。
で、「ゼルダを探して」というチャレンジのコンプリートが表示される。「ガノンドロフ討伐」は、黒龍を倒した時にコンプリートされていたが。この時点で、「ゼルダを探して」というチャレンジのみ、コンプリートされていない。
ガノンドロフという巨悪を倒してクリアというわけではなく、オープニングから離れ離れになっていたゼルダ姫を見つけて、物語を閉じる、というゼルダの伝説というタイトルに相応しい締めくくりだったと思う。

キャラクターデザイン

キャラクターデザインは、主にガノンドロフについて書くことになる。
恐らく前作からプレイしている人にとって、一番衝撃を与えたのがガノンドロフのデザインだと思う。
ゼルダ姫とリンクは、当然前作から登場しているが、前作のガノンドロフは、人間の時の姿が描かれていなかった。なので、今作のガノンドロフのビジュアルは、初登場となる。
で、上にも書いたが、そのガノンドロフがとにかくかっこいい。ここまでかっこいい悪役を見たのは、久しぶりかもしれないと思わされる。
まず、見た目から「この男は確実に強い」と思わせてくれる。肉体は、筋骨隆々、服装は、和を思わせるテイスト、で、武器は日本刀を思わせる武器。
まさにラスボスにふさわしいビジュアルをしていて、ラウルが言う、「益荒男」という表現がぴったりと合うようなヴィジュアルだった。
声優さんの声と演技もぴったりで、まさに魔王を表現することができていたと思う。
作品が違っていたら、戦国時代に生まれた、偉大なる王という設定でも、違和感を感じないほどにかっこいいヴィジュアルだった。
また、ネットでも話題になっていた、ガノンドロフのゲス顔もとても良かった。あのワンシーンで、こいつは人の心を持たないとんでもない悪党であるとプレイヤーに確信させることに成功したと思う。

最高のゲス顔

ゼルダ姫は、とにかくかわいかった。前作でももちろんかわいかったが、今作のかわいさは異常だった。
前作からの主な変更点は、ショートカットにしたことなんだが、驚異的に似合っていた。
研究家気質で、自ら国中を回って遺跡の調査をするほどの行動力を持っているというゼルダ姫という設定的にも、ショートカットというのは合っていると思う。

ゼルダ姫の人物描写・前作との対比と連続性

このゲームには、多種多様なキャラクターが登場する。人物図鑑には、22人のキャラクターが登録されている。
しかし、このゲームでのムービーを使っての人物描写の7割から8割は、ゼルダ姫の描写に割かれている。残りの3割程度でラウル・ソニア・ミネル・ガノンドロフなどを描写している。
実際に割かれている時間がそのとおりなのかはわからないが、そう思わせるほどにゼルダ姫の描写が多い。
で、そのムービーは、今作では龍の泪と呼ばれるチャレンジだが、これは、前作のウツシエというチャレンジと同じようなものだ。

前作のウツシエのなかで描写されるゼルダ姫は、封印の力に目覚めることができず、小さい頃から苦悩し続けていて、結局、封印の力に目覚めることができたのは、終盤だった。
更に、ゼルダ姫にとってリンクは一種のコンプレックスみたいな存在で、ゼルダ姫は、リンクに対して嫌悪感すら抱いていた。
なので、前作のウツシエでは、苦悩し続ける姫、世界を救いたいという気持ちはあるが、力に目覚めることができていないので、頼りのない姫という描写がされていた。
この描写は、個人的にはとても良かったと思っている。
封印の力を手に入れるために、努力をする姿。その努力を長年続けているが実ることがなく、父親からも責められ、苛立ちを見せる姿。自分が持っていないものを最初から持っていると思わせるリンクへの嫉妬と苛立ちを見せる姿。
そういった描写が、プレイヤーに「ゼルダ姫に人間らしさを感じさせる」ことに成功したと思っている。
ゲームの中のキャラクターにとどまらず、一人の人間の女の子と思わせてくれる。

理不尽なキレ方をするゼルダ

今作では、前作とは違って、「どうすれば力に目覚めるか」ではなく、「自分の力をこの世界のためにどう使えるか」という描写がされていた。
そこに、前作のような頼りなさはなく、自分の役割を確信して、とても重い決断を自ら下す姿が描かれている。
この決断に胸を打たれたという人はとても多いと思う。もちろん自分もその一人だ。
前作の時点で、とても身近に感じられるようになった、一人の女の子。その女の子が、世界のために、自分が人間であることを捨てるという決断を見せつけられる。
そんなものを見せつけられたら、その期待に応えたい、この女の子をなんとか救いたい、そのためにもさっさとガノンドロフを倒さなければ、と思わせてくれる。
今作の龍の泪というチャレンジは、プレイヤーにそう思わせるという重要な役割を持っていて、その役割を十二分に果たしてくれたと思う。

ハテノ村での、ゼルダ姫の日記や子どもたちから聞くゼルダ姫の話も、ゼルダ姫の人物描写に一役買っている。
日記には、ゼルダ姫が学校を創設したことが書かれている。ゼルダ姫が子どもたちを大切に思っていていることがよく分かる。
ゼルダ姫の人物像的にも全く違和感はなく、うんうん、そうですよね、とより一層ゼルダ姫を好きになる。
自宅と学校に、子どもたちが描いたゼルダ姫の絵が飾られていて、ゼルダ姫が子どもたちと交流していること、子どもたちがゼルダ姫を慕っていることが伝わる。
また、子どもとの「ゼルダ姫まだ帰ってきてない。」としょんぼりしている会話もあり、より一層早くなんとかせねばと思わせてくれる。
ゼルダ姫を直接登場させることなく、日記や子どもたちを通して、ゼルダ姫の人物描写をしている。

ハテノ村の子どもが描いたであろうゼルダ姫の絵

まさにゼルダの伝説

今作は、まさにゼルダの伝説という内容だった。これまでの作品は、ゼルダの伝説とは言うけど、実際はリンクの伝説だよね、という声が多かったと思う。なんなら自分もそう思っていた。
しかし、今作は、まさにゼルダの伝説というタイトルにふさわしい内容だった。
ティアーズオブ ザ キングダムというサブタイトルも素晴らしい。「なるほどなるほど、ガノンドロフによって苦しめられた人たち(=国)の涙を意味しているんだな」とか思っていた、浅はかな発売当時の自分に「任天堂を舐めるなよ」と言いいながら、ぶん殴ってやりたい。
様々なゼルダの伝説のシリーズの作品があるが、今作こそまさにゼルダの伝説だと思わされた。今作は、ゼルダの伝説史上最高傑作だと思うし、少なくとも私にとってはは、ゲーム史上最高傑作でもあると思う。
こんなに素晴らしい作品を作ってくれた任天堂には、感謝しかない。本当にありがとうございます。

あとがき

こんなに長文のレビューを書くのは初めてだけど、今作をやってから、「これは感想を書き残しておかなければ」という謎の使命感に駆られて、書いてしまった。
最初は、amazonのレビューに書こうと思っていたけど、ガンガンネタバレ書きまくりたいし、amazonのレビューに書くのはやめておくか、という判断は正解だった。

今作は、前作のBotWをやってからプレイしたほうがいいか?という質問をたまに見かけるが、確実にやってからの方がいいと思う。
前作をプレイしてなくても今作は楽しめる作りになっているが、前作をプレイせずに今作をプレイするのは、とてももったいないと思う。
せめて、ウツシエのムービーをすべて見て、ゼルダ姫がどういう人生を歩んできたか、どういう人物なのかを理解してからプレイすることをおすすめする。

この記事では、手放しでTotKを褒めまくっているが、1つだけ不安がある。それは、今後ゼルダの伝説シリーズで、この作品を超えるようなモノを果たして作ることができるのだろうか、という不安だ。
そんな不安をしてしまうくらい、今作は素晴らしかった。できれば杞憂に終わってほしい。

この作品のスピンオフ作品を作るのならば、ぜひともゼルダ姫と一緒に冒険させてほしい。ゼルダ姫と一緒にハイラルを回って、人々の困りごと解決するとか、そういうのがやりたい。
ゼルダ姫と、人々が交流する姿を見てみたい。困っている人を助けて、人々からありがとうと言われるゼルダ姫から、ありがとうと言われたい。
そういう作品を作ってくださいお願いします任天堂様。

数年後、ゼルダの伝説の新作が出たら、またこの感想を読み返そうと思う。